2016年1月31日日曜日

MPAのDual Degreeについて

LSEのMPAコースにはDual Degree Programがあります。1年目をLSEで過ごして2年目を提携校で過ごす仕組みです。(つまり交換留学)

2016年現在提携校は5校あり、各大学の公共政策コースに交換留学します。
1. The MPP at Hertie (The Hertie School of Governance, Berlin)

2. The MPP at LKY (The Lee Kuan Yew School of Public Policy at the National University of Singapore)

3. The MPP at Sciences Po (L’Institut d'Études Politiques de Paris)

4. The MPA at SIPA (The School of International and Public Affairs at Columbia University, New York)

5. The MPP at GraSPP (Graduate School of Public Policy at the University of Tokyo)

1年生の前期にかなり丁寧にMPAオフィスが説明会を開いてくれるので、そこで詳しい情報は得られます。申し込みは1年生後期の最初(1月中)。

私は説明会に参加した結果申し込まないことにしました。後で後悔したくないので今日はその理由を書いておこうと思います。

◯ Dual Degreeのメリット
1.異文化体験
2.LSEにないコースが取れること(その大学の強みの分野)
3.授業スタイルや評価方法が変わること
4.その国や地域に詳しい政策が取れる(アジアやアメリカ等)
5.新しい人との出会い
6.学費、生活費が安い 等々

◯ LSEに留まった理由
1.LSEで得られる学びの機会をもっと活用したい
Social Scienceのランキングで高順位を獲得しているので面白い研究をしている教授がいるはず。しかし、まだ学びが面白いという域に達しておらず、その教授達を十分に活用できていないのが悔しいです。

2.イギリスについてもっと勉強したい
「イギリスの社会政策は面白いとよね」と言われますが、面白さがまだ分かっていない。かつて読んだ本の中に、地域コミュニティをPublic, Private, NGOが連携して創り上げ、福祉レベルを向上させていく取り組みがあり面白いと思ったけれど深堀りできていない。

3.リベンジしたいことが沢山ある
学期中の議員インターンシップを来年トライしたいです。政策立案過程を体験したい。あとはコミュニティ活動への参加。今年はSocial Innovation SocietyのConferenceの企画に携わることにしましたが、LSE外のLocal Communityとのネットワークを作りたい。あとは学業パフォーマンスをあげたい。LSEに来たけど落ちこぼれでしたは嫌なので、せめてMeritぐらいは取れるようになりたい。

4.2年生のプログラムが楽しみ
Dissertationを書いて自分の興味ある分野を深堀りしたいです。それを次の仕事につなげられたら最高。Capstone Projectという授業で民間会社やNGOと協力してプロジェクトが楽しみです。1年生で習ったツールやスキルを仕事で使えるようにしたいです。(Dual Degreeだと学校によりCapstone、Dissertationが無いです。)

5.Dual Degreeにいくメリットがあまりない
場所を変えたからこそ体験できることは沢山ありますが、LSE1年間、Dual Degree1年間だと、私のスピード感では出来ることが浅くなりそうです。また、MPAが既に国際色豊かなので(約90人中イギリス人はたった5人)、異文化体験は十分かも。

◯ 少し心残りなこと
(大陸のヨーロッパ人曰く)イギリスはヨーロッパの中でも異色(EUに加盟しているががユーロを導入していない等)らしいので、大陸ヨーロッパの肌感覚が得られないこと。もう一つは登録人数制限の関係で実際に受けられるオプショナルコースの選択肢が少ないこと(他の大学の事情は分からず)。

ともあれ、1年生後半、2年目はもっと生活を充実させていきたいです。




Academic Essayを書く時に気をつけたいこと

学期中はエッセイが課題としてたんまりと出ます。参考までに前期は5本(うち2本は短いPolicy Memo)、後期は7本(うち2本は短いPolicy Memo)あります。

エッセイにはFormativeとSummativeの2種類があります。そのうちFormativeは成績にカウントされず、練習みたいなものです。提出すればフェイードバックがかえってくるので自分の現段階のレベルや教授の評価の厳しさがわかります。Summativeは成績に反映されます。

LSEは基本的に評価は4段階あり、Distinction, Merit, Pass, Failです。そしてかなり厳しく点がつけられます。軽く見ていると痛い目にあいます。参考までにネイティブでも普通にPassやFailをとります。私の感覚ではMeritかもしかしたらDistinctionかもと思っていたエッセイがPassで返ってきました。(そして前期Failを一回とってしまいました。)

そこで前期後半に提出したエッセイはやり方を少し変えました。そうしたら何とDistinctionが取れたので忘れないうちに振り返り。あくまで経験談で教授等に聞いたわけではないので多少の勘違いがあるかもしれません。

⒈ スケジュールに余裕をもつ
つまり追い込みがきかないということ。これは言語の問題とアカデミックエッセイという側面があります。まずは英語で文章を書くのに日本語より時間がかかるし、精度が低いので読み直しの時間が相当必要。あとはアカデミックエッセイはどれだけ自分の主張を他の論文で裏付けできるかが重要なのでリサーチ時間(他の論文を読む)がかなり必要。リサーチには最低1週間、3日前には書き終わっていると校正を余裕もってできる。

2.問われている意図を確認し問にもれなく答える
当たり前のことですが意識しないと自分が書きたいことだけを書いている時があります。何度も何度もエッセイクエスチョンを読んでエッセイの構造を練りました。何個の 問いに答えればいいのか、自分の内容はその問いに答えているのか。

3.自分の主張をどれだけproveできるか
アカデミックなので、意見が主観的だと評価されません。「このように思う」「なぜなら他の論文でこう書いてある」という根拠が必要です。大学に書いたエッセイと大きく異なるのはこの点かなと思います。あとは他の論文を読むことで思考の枠組みができるので、一定数は読むことが必要です。 例:民主主義を語る時に論文で見つけた民主主義を分類するフレームワークを使う→自分で考えるより分かりやすく視点が網羅できる

4.Proof Readingを繰り返す
何度も文章を読み返すことです。私は日本語の時の3倍は必要でした。まず書き終わったら1晩おく。時間がたって読んだ時に自分が「?」となる文章は校正が必要。見たことない表現や語彙の組み合わせは使わない。英語の文章はとても簡潔にポイントを書くことが必要なので一文一文が意味を成すようにする。あとは主張(抽象)→サポートセンテンス(具体例)はお決まりパターン。相手に伝えるためには絶対必要。

5.ネイティブチェック
前期はネイティブにチェックしてもらう余裕がなくしませんでしたが、これは必須。ネイティブの立場になって考えるとぎこちない文章(小さい文法ミスがある)を書いている人にDistinction, Meritはあげたくないと思います。私は後期から2年生の人に日本語教えるかわりに私のエッセイの英語チェックをお願いしました。

6.バックグラウンドの知識の量
すぐに出来ることではないですが、自分の肌感覚で物事を理解しているとやはりいい論文が書けると思います。客観的に見て私がDistinctionをとったManagementのエッセイは、経験したことがあるから書きやすかったことは大きな理由の一つだと思います。参考論文を読んでいても何が大切かが感覚で分かります。これはスキルだけではどうにもならないところ。




Cotswoldsに行きました

LSEの冬休みにコッツウォルズに行きました。ロンドンから車で2.5時間で行ける田舎町です。コッツウォルズはProvinceの名前で、その中にある小さな町(Bourton-on-the-water, Morton-in-marsh, Stonehenge, Bibury, Cheltenham )をまわってきました。

オフシーズンだったので人気店はほぼ休みだったのですが、それでも空気が清々しくて最高でした。久しぶりにロンドンの喧騒を離れゆっくりしました。


初めての体験したのは運転とPublic Footpath。

田舎町をまわるため公共機関(電車とバス)は便が悪くて大変なのでレンタカーをしました。5日で130ポンド。ガソリンは50ポンド。私も一部運転をしたのですが、一番大変だったのはroundabouts。いくつもの高速道路が途中でサークル状に交わるところがあるのですが、初めてなので難しかった〜。 右からくる車優先という簡単な仕組みではあるのですが、右からくる車が見えなかったり、どのタイミングで入ればいいのか等々、ドキドキしました。でも一回運転して慣れるとまた運転できる気がする。

面白かったのはPublic Footpath。散歩道に私有地を指定する仕組みです。Public Footpath協会があるらしく、町を歩いて知ってもらう、楽しんでもらうというtouristの一環みたいです。私有地のオーナーに交渉してOKが出れば私有地に散歩道を指定します。牧場や畑を突っきったりします。ただ道という道はなく看板があるだけ。私有地に観光客が入ってくることを公式にOKするっていうのが面白い。公共意識が高いのかなと思いました。



少し関連して公共空間の作り方として面白かったのがCleeve Hill。Cheltenhamにあり丘の上からCotswoldsを見渡せます。自然を保全している丘なのですが、手がほとんど入っていません。丘の上に登るのに何通りも道があります。手を入れすぎない公共空間というのが日本であまり見たことなかったので新鮮。手を入れてないのでメインテナンスがおそらく楽そう。日本だと安全性の問題が出てきそうですが、そういうのをお節介しすぎない自由さは好き。週末だからか家族連れや犬を連れて多くの人が遊びに来ていました。