2017年5月8日月曜日

Capstone Project

久しぶりの更新です。

長文になりますが、将来MPAでCapstoneをするかもしれない向けに、下記にポイントを絞って書きます。

1 スケジュールとアウトプット
2 大変だったこと
3 やって良かったこと
4 学んだこと


CapstoneはMPAの2年生の目玉のプログラムです。10月〜3月までの6ヶ月間をかけてクライアントに与えられたプロジェクトをグループ(4~5人)で遂行します。このグループはMPA Officeが生徒の出したPreferenceを考慮してランダムに割り当てられます。2年目なので大体のチームメンバーは顔見知りのはず。(Dual-Degree Studentsと一緒になった場合はほぼ初対面です)

前期開始時に18のプロジェクトが発表されました。Development、Management、Social Welfare、Finance等の多岐にわたるトピックがあり、パートナーも営利や非営利(国際機関、財団、NGO等)様々です。分析手法も定量的、定性的様々なので、自分の得意不得意に合わせて選択すると良いと思います。

私自身、CapstoneはMPAを選んだ大きな理由の一つでもあり、とても楽しみにしていました。学んだことも多かったですが、その過程で想像以上の困難もありました。とくにグループダイナミクスを理解する最初の数ヶ月と、プレゼンとレポートの締め切り前は大変でした。


スケジュールとアウトプット
6ヶ月間で求められているアウトプットはクライアントへのプレゼンテーションとLSEに提出するレポート(15,000 words)です。内容に関しては、事前にMPA Officeがクライアントと調整しているので、無理難題はないはず。ただ、データの入手可能性によってリサーチの難航度は大幅に変わるので、事前のプレゼンテーション時に確認しておいた方が良いと思います。

私のグループはクライアントに最初に挨拶に行き、その後は1つのステージが終わる毎にプレゼンをしました。よって、パートプレゼン3回+最終プレゼン1回でした。日常はメールでやりとりです。

グループミーティングは最初の2ヶ月は週1回2−3時間のミーティングが基本でしたが、途中からは議論することも増えてきたので週2回に増やしました。冬休みはタスクを割り振りましたが、結局皆忙しくてあまり進められず、休み明けに本格的に再開。

1月下旬から3月9日の提出日までは自分の普段の勉強時間の7割はCapstoneにとられました。他の教科や修論に割く時間が圧倒的に少なくなったので、それを想定して予定を組んでおいた方が良いです。

レポートは2月頭から本格的に書き始めました。まだ分析も終了していなかったので、レポート班とリサーチ班に分かれました。また、ネイティブがいなかったので、Proof Readingに3月1日に提出。結果的にProof Reading前に最低限のレベルまで仕上げ、残りの1週間で何度も読み直し、エビデンスを集めたり等してクオリティーをあげることができました。

それでも提出前日は図書館に朝3時すぎまで残ることになりました泣。他のグループも沢山いたので、最後はそうなるみたいです笑。

大変だったこと
班によって苦労するポイントが異なりますが(グループ内、クライアントとの関係、Supervisorとの関係等)、私の班はグループ内のコミュニケーションが一番大変でした。とくに1年生時のグループワークと比較すると、スコープが広く抽象的議論が多かったのが大きな要因だった気がしています。

昨年の2年生からも「Capstoneはグループが全て」と言われていましたが、本当にその通り。前述のとおりランダムに割り当てられるので事前に仕組むことはほぼ不可能で「運」です。ただ友達とも話していて、コミュニケーションで問題ないグループは皆無だったので、何か起こると思って望んだ方が良いかもしれません。

以下にポイントだと思うことを書いておきました!

◎ 違う意見をどう合意にもっていくか:
私の班はとことん議論しましたが、合意に辿りつくまでの時間と労力を必要以上に浪費していた気がします。しかも私の班は気性が激しいメンバーもいたためか笑、議論のたびにすごいエネルギーを消費していました。家に到着するとぐったり。

その要因としては議論が途中で迷子になったり、また結論が出ていないのに次の議題を話していたことだったので、途中からはホワイトボードを使ったり、またパワーポイントやワードに意見を事前にまとめて議論の可視化に努めていました。

◎ フィードバック(FB)の方法:
「相手が聞く気がおきるフィードバックの伝え方ができるか?」これが想定より難しかったです。例えば攻撃的なFBを繰り返す人がいると、受ける側は防御のために自動的に聞くことをシャットダウンしてしまったり。あとは、個人の中で無意識に「この人の意見は意味あるけど、あの人の意見は意味ない」という姿勢ができてしまって、ある人がいくらFBをしても全然反映してもらえなかったり。等々。いろいろありました。

これを放っておくとグループワークが不可能になります。「仲介役(皆の信頼を得ている人)」に自分がなった場合は、皆の意見を平等に拾って皆が同じテーブルについている感覚を保てるようにすることが重要です。他の人が「仲介役」だと思った場合は、その人にお願いすると良いと思います。

真摯に丁寧に他の人の意見に向き合うことができるのは能力なのだと実感。

◎ クライアントとのコミュニケーション:
クライアントがCapstoneに慣れているか(複数回目もいれば初めてもいる)はプロジェクトのスムーズさにとても影響します。特に相手が初めての場合はお互い手探りなので、彼らの指示を100%信じずに、小さな疑問でもぶつけた方が良いです。

私の班は、Terms of Reference (プロジェクト概要と目的)のゴール設定が曖昧なところがあり、捉え方によっては6ヶ月以内では達成不可能だと判断し、最初に2週間ほどかけて認識を合わせました。結局Terms of Referenceはクライアントと合意の上で最後に書き直しました。

また最後に思ったのは、クライアントのリソース(他の部署や外との関係性)をもっと活用すればよかったということです。クライアントが比較的大きな組織で横の連携が強い訳ではなかったので、こちらから特定の組織や人をお願いしない限りはリーチするのが難しかったです。

◎ フリーライダー問題:
私の班はありませんでしたが、何度か他のグループで聞きました。大切なのはフリーライダーが出たときにどう対処するのかを最初に決めることが大事だったと話していました。(ひどい場合はMPA Officeに報告する等)


やって良かったこと
◎ Supervisorの活用:
各グループにSupervisorが割り当てられます。学校側の責任者です。彼らの役割は明確に定義されていないので、どう活用するかはグループ次第で、頻繁に干渉してくるSupervisorもいれば、ほぼ放置もあります笑。

私たちのグループは各プレゼン前にPPTを送付してFBをもらったり、レポートへのFBをもらったり、リサーチの方向性を相談したりしました。頼んだことを拒否することはしないと思うので要所要所上手く活用すればいいと思います。

◎ Field Interviews:
Literature Reviewが主のプロジェクトだったのですが、私たちが抽出した課題やそれに対する提案が的を得ているか確かめるべく、途中でクライアントにも相談してステークホルダーにインタビューを4件のみ実施しました。結果、課題意識の妥当性が確かめられられ、また想定できてなかった実行プロセスでの問題が明らかになったのでよかったです。

◎ お互いへのフィードバック:
レポートとプレゼンが終わり皆でパブに行ったときに、自然とプロジェクトを振り返る流れになりました。そのときにメンバーの一人が「Yukieは周りにいる人をPositiveな気持ちにさせ、一緒にやりたいと思わせることができる。それって素晴らしいことよ。そして、どの人の意見にも真摯に向き合うことができるのはすばらしい」とフィードバックをくれました。それを発端に、それぞれへのフィードバックタイムが始まりました。

自分の強みって自分には見えにくく、また外国でのワークは日本と環境が違うので自分がどう貢献できるのか悩んだことが多かったので、すごく嬉しく救われました。何度も揉めたにも関わらず、ポジティブなフェードバックを最後にくれる 彼女は素晴しかったです。


学んだこと
◎ InputとOutputのイメージを最初にもつこと
「個人でどれだけの時間/週を確保できるのか、それでプロジェクトの目的が達成可能か」は最初にグループで話し合っておくと良いと思います。私は「できるところまでやろうよ」という意識が強く、費用対効果の意識が薄くなりがちなので、とても勉強になりました。最初から不可能な目的設定はクライアントと交渉する必要があります。(彼らも私たちのスケジュールは知らないので)

◎ Group Workの姿勢
Capstoneは今までのMPAのどのプロジェクトより「Group Work」でした。お互いにフィードバックを重ねアウトプットの質を高めることができたと思います。どこまで相手のワークに干渉するかは難しいと思うのですが、私のグループは1人すごくアウトプットの質にこだわるメンバーがいて(3〜4回同じパートを書き直すことも)、彼女がとことんフィードバックしあう環境を整えてくれたと思います。

◎ Technical Knowledge
テーマであった大学と企業の技術移転に関するトピックと、Randomised Control Trials (RCTs)については詳しくなりました。特にRCTsはEmpirical AnalysisではGolden Rule的な手法なので、今後リサーチ分野の仕事に就けば目にすることも多そうで、今回きちんと勉強できてよかったです。

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