2015年10月30日金曜日

学問から得られること

LSEは最初のmIchaelmas Termが11週間ありますが、今週で5週目が終わろうとしています。もう少しで半分です。目の前のことに追われていたらあっという間。

公共政策という学問を勉強し始めて、今私が思う学問から得られることを書きたいと思います。なぜかというと、仕事をしている時に比べて圧倒的に自分が社会に還元している価値が見えにくく、周りからのプレッシャーからも仕事と比べるとほぼないので、「何のために今学生をしているのだっけ?」と考えることが多いからです。

○ 今受けている授業
マクロ&ミクロ経済学、計量経済学、政治と公共政策、パブリックマネジメントの4つ。基本的には各授業、週2時間講義、週1〜1.5時間セミナーです。講義はレクチャーベースで1年生はほとんど基礎理論を学んでいます。セミナーでは理論を用いた問題を解いたり、それを現実のケースと比べたディスカッション、ケーススタディ、グループプレゼンテーションの組み合わせです。基本的には理論と分析ツールを勉強しています。

○ 学問を通して得ているもの
大学院というと最近はMBAに行って現実と照らし合わせた知識を得るイメージですが、学問全体から見るとかなり別格だと思います。他の学問のことは詳しくはないですが、LSEの公共政策は割とお堅く理論に忠実です。

理論と分析ツールを勉強して私が今得ているもの(得られるであろうもの)は4つだと思っています。
・教養
・今まで持っていなかった物事をみる視点
・社会全体を因果関係のメカニズムとして捉える力
・現在の延長にある未来の予測

教養は純粋に知らない世界がたくさんあることを実感するということです。例えば政治学でstrategic voting, compulsory votingというテーマを勉強したのですが、そんな学問があること、そして現実でおこっていること初めてきちんと勉強しました。選挙制度によって投票者がどんな戦術を使うのか、それを利用して政治家はどう選挙活動をするのか、それによって起こりうる問題を勉強しました。純粋に日本の政治制度をもっと勉強したいと思えました。学問はこの繰り返しがとっても多いと思います。特に海外で勉強していると全て海外の事例で学ぶので、日本てどうなっているのだろうか?という疑問を常にかきたてられます。

あとは新しい視点から物事をみることができるようになりそうだと思いました。単純な開発の例ですが、アメリカのアフリカの食糧支援の方法の議論を理論と照らし合わせてしていた時でした。今までは支援するアメリカと支援を受ける住民という大きなプレイヤーの関係しか見えていなかったのが、アメリカ側で支援をすることで利益を得ている人は?アフリカ側で損している人は?という問いをもらい、食糧の需要と供給を考えた時に今までぼやーっとして見えていなかった関係が頭でくっきり描けました。

経済学は世の中の事象の因果関係のメカニズムを理解するための考え方とツールを提供する学問です。私はまだその実感をもてていませんが、基本的に、論文を読んでいても理論を説明し、実際の事例にあてはめて証明するものが多いです。論文も1900年代前半のものを読むこともあり、それだけ積み重ねてきた知識なのだから理論の勉強に時間かかることを納得させている自分もいます。

あとは前の項目に関連して、過去の分析力を身につけることは原因と結果の関係の傾向をつかむことなので、現在の延長にある未来の予測ができるようになると思っています。例えば政策の効果を推定することはまさにそうです。また、各理論にはそれぞれ前提条件というものがあります。単純な例でいえば会社は利益を最大化する、消費者は多くのものを消費したほうが幸せを感じる。けれどもこれらの前提条件がいつまで通用するのか、通用しなくなった時に社会の仕組みはどう変化するのか。未来を予測するヒントが隠れています。


ただ友達と話していて思ったことは、現在の延長線上にない発想からくる新しい未来や変化は現場から起こるということです。学問は基本的には新しいものや変化を追う立場であると。だから実際に新しいものや変化を生み出したいことに興味がある人は学問に向いてないのかもしれません。

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