場所はVictoria Palace ThatreでVictoria Stationの近く。結構立派な劇場でした。参考までにチケットは52.5ポンド。今回は終演が近いので割引はなかったのですが、本来はグループ割引(10人以上)で約半分の価格で買えるそうです。なので他のミュージカル見に行く時は調べるといいかも。今回は見る限り満席。開演前の写真。
舞台は1980年代イギリスの北東のまちダラム。炭鉱で働く父親、兄、そして軽い認知症をもつ祖母の家庭に育った少年がバレエにはまり、 バレエへの性的偏見や家庭の貧困等の葛藤を抱えながらRoyal Ballet Academyに入るまでを描いたお話。家族愛や友情、支えてくれる人々(Mrs. Wilkinson等)にフォーカスがあたります。
ざっと感じたこと。
1. 子役すごい
率直な印象。多分小学生ぐらいの男の子だと思うのですが、演技、ダンス、歌どれも上手だったし、堂々と楽しそうに舞台にたっていました。こんな小さい時からこれを成し遂げる能力と度胸でどんな大人になるのだろうかと思ってしまった。
2. ミュージカルの演出が面白い
映画ではまず見ない演出。空間の使い方と時間軸の組み合わせ方が人の脳内を表した感じ。
例えばストライキの場面とバレエのレッスンの場面を同じ舞台でごちゃまぜにダンスしたり。映画だと1画面は1つの事柄を映すだけなので例えばストライキの場面の後でバレエのシーンを入れますが、人の脳は同時並行で起こっている事柄は同時に処理できます。そういう感覚で空間を使っている印象を受けた。
あとは時間軸の使い方も面白い。亡くなったはずの母親が現人のように登場したり、将来プロになったBillyが現状の子供のBillyの影のように踊ったり。何の説明もないのだけど、何となく分かる。
これらの演出はミュージカルだと当たり前なのかもしれないけど、すごく斬新に感じ面白かった。
3. どことなく物語の背景にある暗さがイギリスっぽい
ストライキの暗い閉塞感とバレエという華やかなイメージの素材を一緒に扱うのがイギリスらしいと思った(完全な私見)。舞台は1980年代半ば。イギリスは70年代後半のオイルショックによる物価高騰を受け、急激な財政緊縮を行い1981年に不況を被ったあたりの時期。物語の背景に労働者階級の金銭的苦悩と男性がバレエをすることへの性的偏見が色濃くでています。
イギリスに住んで感じるのは、こちらの人のつつましさ。感情をオーバーリアクションに表現することは滅多にないし、話し方も静か(穏やか)。食べ物や服装も質素で大人しい印象。あとはどよーんとした曇り空。
そういうことをひっくるめて、この映画はこのつつましい質素なイギリスの雰囲気をよく表したお話だなぁと個人的に思いました。
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