2016年4月26日火曜日

日本のテーマなのに日本語文献が見つからない

Easter Breakに課された政治学の論文として、2015年に両院で可決された平和安全法制(安保法案)のことを書こうとして調べていた時。ちょうどデモが盛んだった9月にロンドンに来ていたので、知識が曖昧だったのが少し心残りでした。

参考:平和安全法制の考え方は以下がわかりやすい(The Huffington Post)


世論として安保法案反対の声が大きく取り上げられていた印象があり、それにも関わらずなぜ両院で可決されたのか?というテーマを扱うことにしました。すごくざっくり書くと政治学の基本定理の中に、一定条件のもとで中位投票者に最も好まれる選択肢が多数決投票の結果均衡点となり社会的に政策として選択されるという中位投票者定理があります。世論調査を元にすると中位投票者に好まれるのは「安保廃案」なのですが何故可決されたのかという問いです。

それで日本の安全保障を取り巻く環境、ロビー団体の存在、投票者の選好について等々の記事や論文を探していたのですが、日本語の論文が全く見つからず、英語で探したら沢山出てきてびっくり。主に大学やリサーチセンター(シンクタンク)が出版しているものでした(著者もほぼ外国人)。

何でなんだろう。

日本語の論文が電子化されていない。
日本語の論文は一般公開されていない。
論文を書くことが日本国内だと評価される対象に入らない。
自国の研究はしにくい。
教授、研究者の数が外国と比べて圧倒的に少ない。
テーマが偶然にも研究対象として比重が置かれていない。

等の理由が思いつきますが、いつか日本の学者の人にあったら聞いてみたい。

それにしても外国に調べつくされている(!?)というのはこわいなぁと。こちらに来て思うのは「研究(客観的に分析する)」ということにすごく価値が置かれていること。情報は一定程度ないとフェアな判断をしにくいので、情報を徹底的に調べて批判的に分析する姿勢は見習いたいところ。私は苦手。

〜おまけ〜
ちなみに結論としては、以下の三つにしました。
(1)選挙という、投票者が政治家をパフォーマンスを鑑みて選ぶという機能(Sanctioning mechanism)が働いておらず、一つの理由として自民党を脅かす政党も現段階ではいない(他の政党支持率も軒並み低い)=政治家は投票者の選好を気にする必要がない。

(2)選挙は多くの政策のパフォーマンスを総合的に評価する(multi-dimensional)ので、安保法案の次回選挙への影響が未知。経済政策を投票者は気にするのではないか。

(3)世論調査が全人口の意見を集約している訳ではないので、実際の中位選好は「賛成」にあったかもしれない。ただ政治家はわかるのか?

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